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Airbnb 自治体の最近の動きと可能性

      2016/11/11

Airbnbは不動産投資としても非常に大きな魅力があると言われており、既に民泊事業に着手している投資家は、通常の普通賃貸の時に比べ、数倍の利益を叩きだしているそうです。

 

民泊ビジネス支援を行っているオックスコンサルティングが、Airbnbに掲載されている物件を対象に行った調査(2016年7月末時点)によると、新宿区内の1Kひと部屋あたりのairbnbによる利益が30~35万円にもなっているそうです。

 

新宿区内の月額家賃相場は、9~10万円程度ですから、それを考えるとairbnbはとんでもなく儲かる経営手法であるといえます。そんな注目を集めているairbnbですが、気になるのは今後の民泊規制の動向です。

 

民泊については、現時点で言うと、一部の自治体を除き法整備が進んでいないためホテル業などと同じ規制である「旅館業法」に基づく許可がなければ営業することができないという状況が続いています。ちなみに、旅館業法に基づく許可を取得した場合、現状では民泊は「簡易宿所」という形態にカテゴライズされます。

 

ただ、ご存知の通り、旅館業法は旅館やホテルを対象として法律が作られているため、当初想定されていなかった民泊という宿泊形態には、まったくもって不向きであり、今現在都内を中心に増えているワンルームマンション民泊が簡易宿所として許可を得るのは事実上不可能と言える状況です。

 

この状況に政府も民泊独自の法律の制定に向けて動いているようですが、これに先んじる形で、自治体独自に「民泊条例」を制定して民泊を自治体レベルで規制していこうという動きが出てきています。そこで今回は、民泊を受け入れる方針の自治体と、規制強化する方針の自治体によって、その規制にどのような違いがあるのかなどについて、解説していきたいと思います。

 

ケース1:民泊条例をいち早く取り入れた大田区の場合

東京都大田区は、民泊の規制についていち早く反応した自治体としてもはや業界では有名になっています。

 

ちなみに、大田区が制定した民泊条例は、正式には「大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例」といいます。この「国家戦略特別区域」という言葉、実は民泊を知る上では非常に重要なキーワードとなります。

 

現状、民泊を営業するためには、旅館業法に基づく簡易宿所の許可を得るか、自治体の条例に基づき認定を受けるかのいずれかの方法となります。ただ、先程も言った通り旅館業法に基づく許可は事実上不可能ですから、実際は条例に基づいて認定を受けるしかありません。

 

但し、いわゆる民泊条例はどこの自治体でも制定できるわけではありません。民泊条例が作れるのは、国が指定した国家戦略特区の中の自治体だけなのです。ちなみに、国家戦略特別区域に指定されているのは、以下の自治体となります。

 

【民泊条例が制定可能な国家戦略特別区域】

・東京都全域

・神奈川県

・千葉県成田市、千葉市

・大阪府

・兵庫県

・京都府

・新潟県新潟市

・福岡県福岡市、北九州市

・秋田県仙北市

・宮城県仙台市

・愛知県

・広島県

・愛媛県今治市

※都道府県については、全域又は一部

 

これらの区域内の自治体については、自治体独自の民泊条例を制定することができるようになっています。見ての通り、外国人観光客が多い大都市圏が中心となっています。さて、気になる大田区の民泊条例の規制についてですが、以下にまとめてみました。

 

【大田区の民泊条例の概要】

1:民泊ができる場所

第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域(床面積3,000㎡以下に限定)

わかりやすくいうと、ホテルや旅館の建築が可能な地域に限定されています。

 

2:契約形態

大田区の場合、民泊は宿泊契約ではなく基本は賃貸借契約がベースになります。民泊専用の賃貸借契約をユーザーと結ぶことになります。ちなみに、民泊のユーザーのほとんどが外国人であることに鑑み、契約書はその国の言葉で作成しなければなりません。

 

3:宿泊日数制限

現状のところ、6泊7日以上という制限がかかっていますが、厳しすぎるとのことで2泊3日に改定する方向とのことです。

 

4:床面積制限

これについては、民泊条例ではなく国家戦略特別区域法施行令に「床面積25㎡以上」との規制がされています。よって、条例でこれを緩和することはできません。ちなみに、ベランダ以外のすべての部分のトータルで25㎡以上あれば問題ありません。

 

なお、現状のところ営業日数に関する規制はされていませんので、そういった意味では認定さえ受ければ規制自体はそこまでガチガチということではなさそうです。

ただ、現状のところ民泊認定を受けなくてもそこまで厳しく取り締まられていないため、2016年4月時点での民泊認定件数は11件34室に留まっています。今後は、無認可の民泊の取締も併行して行っていく必要があるでしょう。

 

ケース2:民泊を事実上禁止にした台東区の場合

民泊の受け入れに向けて大きな一歩を踏み出した台東区に対し、慎重論が先行したのが台東区です。台東区といえば日本屈指の観光名所である浅草寺や最近世界遺産にも登録された国立西洋美術館がある上野公園があり、民泊事業者としては是非とも出店したいエリアとして注目をされていました。

 

けれども台東区は、当初民泊への規制緩和も検討していましたが、大田区が先行して民泊条例を施行したため、その結果を見てどちらに舵をとるかを再検討すべきとし、一旦民泊については厳しく規制する方向となりました。

 

厳密にいうと、民泊禁止ではありませんが、その条件があまりにも厳しすぎるため、最近流行っているワンルームマンションを活用した民泊などは不可能となっています。

 

例えば、営業時間内は従業員が原則であり、たとえ宿泊者が就寝中についても誰かが常駐しなければなりません。このような規制のもと民泊を営業して利益を上げるのはほぼ不可能ですから、事実上、台東区内でのワンルームマンション民泊は禁止と捉えて間違いないでしょう。

 

このように、同じ東京都でも自治体によって民泊に向き合う姿勢が180度違ってきます。ただ、厳しい規制を設定している台東区も、完全に民泊を拒否しているわけではありません。仮に規制を緩和した場合に、どのような問題やトラブルが発生するのかが予想しきれないため、既に実施している自治体の事例を分析しようとしているのです。

 

また、民泊については条例だけではなく、国家レベルでも民泊に関する特別法を別途制定する方向で議論が進められています。どのような方向に向かうのかはまだなんとも言えませんが、少なくとも現状民泊の規制を緩和している自治体の今後の動向は、それらの法整備にも大きく影響するでしょう。

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