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マイナス金利の影響

      2016/09/12

2016年1月、歴史的な金融緩和政策が打ち出されたのを覚えていますか?

そうです、今や誰もが知っている言葉となった「マイナス金利政策」の導入です。さて、このマイナス金利政策、不動産投資には追い風であるとかねてから言われていますが、そもそも皆さんはこのマイナス金利の正確な仕組みをご存知ですか?

 

そもそも「マイナス金利」とは?

金利とは、銀行にお金をあずけた際につく利息というイメージが強いため、マイナス金利と聞くと、私たちの利息がマイナスになるのでは、なんて勘違いしている人もいますが、実際の意味は全く違います。

 

このマイナス金利とは、わかりやすくいうと、みずほ銀行や三井住友銀行などの民間銀行と、「銀行の銀行」と言われている日銀との間の話なのです。

 

これまでは民間の銀行が日銀の当座預金にお金を預けると、日銀から0.1%の利息をもらうことができました。けれども、今後は日銀にお金を預けると日銀から0.1%の手数料を民間銀行が徴収されることになったのです。

 

これを「マイナス金利」と呼んでいるのです。

(※但し、現状銀行が日銀に預けている当座預金についてはマイナス金利は適用されません)

 

つまり、民間銀行は日銀の当座預金にお金をあずけておくだけで損失が生じることとなるため、資金の貸出に積極的になり、その結果景気を刺激するという狙いなのです。

 

マイナス金利は金融機関へどんな影響を与えたのか

マイナス金利の導入によって、銀行は非常に苦しい立場に立たされることとなりました。考えても見てください。これまで利息をもらえていたのに、今後は手数料を取るといきなり言われたら、銀行としては考え方を180度変えなければならないのです。

 

これまでは、リスクを冒してお金を貸し出さなくても、日銀にお金を預けておけば一定の利益を上げることができました。ところが、今後は日銀から利息がもらえなくなるばかりか、むしろ手数料を取られることとなるため、銀行としては積極的にお金を貸し出す方向へ大きくシフトせざるを得なくなったのです。

 

また、銀行の中でも特にマイナス金利の影響でダメージを受けているのが「地方銀行(いわゆる地銀)」です。地銀は都市銀行と比べて資金の運用先が限られる他、ご存知の通りの人口減少により地方の人口自体は大きく減っているため、今最も苦しい経営状態を強いられています。

この流れは今後、地銀の経営統合などの再編へとつながっていくと考えられます。

 

マイナス金利は不動産投資家にどんな影響をもたらすのか

さて、ここからが本題です。果たしてマイナス金利は不動産投資家にとって本当にメリットとなるのでしょうか。結論からいうと、メリットとデメリットの両方があります。

 

【マイナス金利による不動産投資家へのメリット】

・融資が受けやすくなった

・融資金利が下がった

【マイナス金利による不動産投資家へのデメリット】

・不動産価格の上昇による投資利回りの低下

ではそれぞれ細かく見ていきましょう。

 

マイナス金利による不動産投資家へのメリット

マイナス金利の導入により、銀行としてはこれまでよりも積極的にお金を貸し出さなければならなくなりました。政府の思惑としては、その貸出先として企業への設備投資を期待していたのですが、その期待とは裏腹にその方向への貸出は思うように進んでいません。

 

なぜなら、景気回復、景気の底上げが不透明な中、銀行から「積極的にお金を貸しますよ」と一方的に打診をされても、企業としては設備投資をして収益が上がる見通しがたたない限り、そう簡単にはお金を借りようとしません。

 

そこで困った銀行が、第二の選択肢として白羽の矢を立てたのが、まさに「不動産投資」なのです。不動産投資向けの融資については、他の事業への融資に比べ物件自体を担保とできるため比較的安定した貸出先となります。

 

さらに、マイナス金利の導入により市中金利もどんどん下がったため、これまで定期預金で運用していた方たちが、運用先を不動産投資に求めました。これにより一層不動産投資に対する貸出が増えたのです。

 

日銀の発表によると、不動産業向けの貸出金については、2016年3月末現在での残高が67兆6991億円にまで増えており、これは1970年の統計開始以来最も高い残高となっています。このように、不動産投資向けの貸出が一気に増えたため、銀行間での競争が激化し、その流れで貸出金利も下がっていきました。

 

一昔前なら、金利4%台でも融資を受けてワンルームマンションに投資をする人がたくさんいましたが、最近ではそんな高い金利ではほとんど借りなくなってしまい、2%台が当たり前の時代に突入したのです。

このように、貸出金利が低下したことは、不動産投資家にとっては非常に強い追い風となるでしょう。また、運用先選択肢の少ない地銀を中心に、不動産投資に対する貸出が積極的になっているため、以前よりも貸出審査が緩やかになっている傾向もありますので、より不動産投資がしやすい環境になったとも言えるでしょう。

 

マイナス金利による不動産投資家へのデメリット

マイナス金利の導入により、不動産取引が活性化したため、都心部の中古物件を中心に不動産価格の値上がりが起こっています。

 

これはマイナス金利だけではなく、2020年の東京オリンピック開催に向けた期待感や、海外からの投資資金の流入、為替などさまざまな要因が影響しているのですが、実はこれにより不動産投資家にとっては一定の「デメリット」が生じつつあるのです。

 

そのデメリットとは「投資利回りの低下」です。

 

不動産価格は値上がりしているものの、景気自体の底上げが実現していないため、そこから生じるインカムゲインである賃料(住居系)については一向に上昇の気配がありません。そのため、昨今の中古不動産売買では、利回りが非常に低い物件でもどんどん買い手が付いているのです。

 

けれども、今後マイナス金利政策が落ち着きをみせて、市中金利が上昇に転じた場合、低い投資利回りで物件を購入している投資家たちは非常に困ることになるでしょう。

 

マイナス金利の今後の展望:不動産投資家はどう動くべき

現状では市中金利が非常に低水準となっているため、低い投資利回りでも投資が成り立っていますが、これが長期的に続くとは安易に考えないほうが良いでしょう。

 

むしろ、こんな時だからこそ、物件を調達する際には、その利回りを厳しく見て、不動産投資で最低でも7~8%以上の利回りが確保できるような物件に投資するのが賢明と言えます。いずれにしても、市場が加熱している時ほど冷静になることが、成功への近道でしょう。

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