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国税はすべてを把握しようとしている

      2016/12/12

国はマイナンバーを導入し、国民一人一人が番号によって管理される時代へと突入しました。これによりマイナンバーで個人のあらゆる情報が紐付けされることとなり、所得についても今後は「丸裸」にされると考えられます。

 

また、実はマイナンバー以外にも、国は国民一人一人の資産を完全に把握して、適正に税金を徴収しようと様々な試みを行っています。今回はその一部をご紹介したいと思います。

 

 国外財産調書で国外財産も丸裸

国外財産調書とは、日本に居住している人が、「国外」に財産を保有している場合、その詳細を申告するよう義務付けた制度のことです。この制度は平成25年から始まっています。最近ではアメリカ本土やハワイ、さらにはフィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムなどの東南アジアにある不動産に投資する人が増えたため、このような制度が設けられたと考えられます。

 

国外財産調書には、国外財産の種類や数量、価額などについて詳細に記載して申告しなければなりません。ちなみに、海外不動産投資をする人で注意が必要なのが、意外にも「贈与税」です。日本では不動産を購入する際、購入した本人の「単独名義」で所有するのが一般的ですが、海外の場合は相続手続きが日本よりも煩雑なため、単独所有ではなく「夫婦共有名義」で所有するのがスタンダードとなっています。

 

そのため、細かいことを知らない日本人投資家がハワイなどで不動産を購入すると、不動産会社から夫婦共有名義で所有するよう自動的に手続きをされることが多いようです。ただ、不動産の購入資金を出しているのが夫の場合、妻との共有名義にしてしまうと日本では「贈与税」の対象となってしまうのです。

 

これを知らずに購入手続きを終えて帰国すると、国外財産調書を見た税務署から厳しい指摘を受けることとなります。そのため海外で不動産を購入する際には、所有名義に十分注意しましょう。

 

 二国間における二重課税の調整について

 

国外に財産を持つ人が増えてくると、今度は「二重課税」の問題も浮上してきます。日本と同様に海外にも所得に対して課税する税金があり、それぞれの国で課税されてしまうと税金の二重取りとなってしまいます。そこでこれを調整するのが「租税条約」です。

 

租税条約とは加盟している二国間において、一定の要件を満たす場合に、その相手の国に対する所得税、市民税、県民税、都民税などが免除されるという制度です。これにより、国外に財産を保有していても、双方の国で二重に課税される心配はありません。

 

また、租税条約を結んでいる国の間では、それぞれの税務当局が情報交換を行っており、脱税防止にも役立てられています。日本が租税条約を結んでいる国は、2016年11月現在、全部で65カ国あり、さらに情報交換協定を結んでいる国についても同時点で10カ国に及んでいます。詳細な国と地域については、財務省のホームページ上で公表されていますので、国外に資産がある方は確認してみると良いでしょう。

 

 海外送金も税務署に把握されている

かつては脱税目的で海外に現金資産を移そうとする人がいましたが、実は100万円を超える海外送金に関しては、すべて税務署に把握されていることをご存知でしたでしょうか。日本から海外へ100万円を超える送金手続きがされた場合、日本の銀行から口座名義人の住所地を管轄する税務署に支払調書が提出されます。この情報をもとに税務署はそのお金がどこから出てきたお金なのかをチェックして、租税に漏れがないかを確認しているのです。

 

そのため、万が一、タンス預金などを海外送金しようとすると、その時点で税務署に完全にバレることになります。

 

 国境を超えた脱税包囲網で、脱税は確実に見つかる

このように日本だけに限らず、世界的に脱税防止に力を入れている状態となっているため、国外に財産を逃して脱税できる甘い時代は終わりを告げたと見るべきでしょう。また、冒頭でもお話しした通り、マイナンバーが導入されたため、確定申告書や法定調書などにもマイナンバーの記載が必要となり、より一層個人ごとの所得の管理が明確になっていくと考えられます。

 

また2018年からは預金口座開設にもマイナンバーが必要となる予定です。そうなると、国としては誰がいくら口座に隠し持っているのかを容易に管理できるようになりますから、所得を誤魔化して脱税するのはもはや不可能と考えるべきでしょう。

 

 「脱税」と「節税」の認識を明確にしましょう

このように、国は様々な制度や方法によって国民一人一人の財産状況を丸裸にして完全に把握しようとしています。適正な租税確保という観点からすれば、とても良い試みですが、現状適切な申告ができていない人にとっては耳の痛い話でしょう。

 

今後脱税は絶対バレますので、バレて重加算税を課税される前に、税理士に相談をして「脱税マインド」から「節税マインド」へ切り替える事をお勧めします。「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」と考えていると、後で税務署から「お尋ね」が届いてきっと後悔することになりますので、十分注意しましょう。

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