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AirBnb(民泊) アメリカの規制から見る日本の将来性

      2016/11/11

昨今、日本の賃貸市場を大きく刺激しているのは、なんといっても「民泊」です。そもそも民泊とはどのように定義されているのでしょうか。ちょっと調べてみたところ、旅館業法にはその旨の記載がありませんでしたが、管轄する厚生労働省の資料には次のように定義されていました。

【民泊サービスとは】
「一般には、自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して宿泊サービスを提供するもの」

ここまで民泊が注目を集めたのには、以下の複数の要因が重なったことによると考えられます。

1:2020年の東京オリンピック開催決定により、世界から東京が注目を集めた。
2:インスタグラムやSNSなどの普及によって、日本の観光地が世界的にその知名度を向上させた。
3:国家施策として、インバウンド外国人の取り込みを強化した。

これらの相乗効果により、今や日本には一昔前には考えられなかったほどの外国人が来日しています。日本政府観光局(JNTO)の下記統計データによると、2013年には訪日外客数は1,000万人を突破し、その後もどんどん増え続けており2015年にはほぼ2倍の1,900万人にまで到達しています。
(参照先 日本政府観光局:http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/)

この結果は偶然ではなく、政府が掲げている目標では2020年に現在の2倍に相当する4,000万人、そして2030年には6,000万人としており、今後の民泊需要はまさに安泰と言える状況にあります。

けれども、現実問題として、これまで民泊という業態が一般化していなかった日本においては、各地でさまざまなトラブルが発生しており、今後どのような規制を設けるのかに投資家の注目が集まっています。そこで今回は、外国で民泊がどのような規制を受けているのかを検証することで、今後の日本における民泊の将来性について考えてみたいと思います。

本場アメリカでは民泊(airbnb)をこう規制している!

アメリカでは民泊をairbnbと呼ぶため、以後はairbnbと表記します。ちなみに、airbnbとは「エアーベッド」のことだそうで、エアーベッドで部屋に人を泊めてあげるという行為からきています。日本で民泊というと、マンションの一室を宿泊用に提供するイメージが定着しはじめていますが、アメリカでは自身の住まいの一部を提供するケースも多く、それぞれかかる規制にも違いがあります。
そこで今回は、日本における民泊のように、一戸を宿泊先として提供するairbnbに対する規制について検証していきたいと思います。

アメリカにおけるairbnbの規制:30日未満の賃貸は原則禁止

アメリカにおいては、30日未満の短期賃貸については、ほとんどの都市において条例で禁止されています。この規制は非常に厳しく、違反すると罰金まで科されるそうです。 さらに、最近ではニューヨーク州においてairbnbを目的とする広告を出稿すること自体を違法として罰金を科すという法案が成立する見通しとなっています。
このような厳しい制限をかけている背景には、主に次の2つの理由があります。

1:ホテル事業との区別
アメリカの大都市においてairbnbなどの短期賃貸が拡大すると、当然ホテル事業は大きなダメージを受けることが予想されるため、これを回避するためにこのような規制を設けています。

2:住人の質の維持
アメリカのマンション(コンドといいます)は、日本よりも入居者の「質」にこだわるという意識が強く、入居者の質も含めての資産価値であると考える傾向にあります。そのため、airbnbによって素性のわからない人間が居住することを強く敬遠する傾向にあり、中には、賃貸自体を禁止しているコンドもあるそうです。

このような理由により、アメリカではairbnbに対して非常に厳しい規制を敷いているのです。

日本で民泊事業は成功するのか

このようなアメリカでの規制を考えると、今後日本における民泊事業にも若干の不安がよぎります。ただ、日本がアメリカと決定的に違うのは、国としても民泊を受け入れざるを得ないという点です。

最初にお話した通り、今後のインバウンド外国人はオリンピックまでにさらに倍増させる予定です。これは今現在の東京都の人口の約1.5倍規模の外国人が今よりさらに増えるということであり、宿泊施設がホテルだけでは全くもって足りないのです。ですから、日本において民泊は規制をかけて抑制する方向ではなく、一定のルールのもと積極的に受け入れていく方向性になるでしょう。

日本での民泊に対する規制は?

日本では、ホテルなどを対象とする旅館業法とは別に、民泊を規制する独自の法律を制定させる方向で動いています。そんな中、今最も注目されているのが民泊の「営業日数制限」です。これについては、民泊を解禁している諸外国においても設定されている制限で、この日数を日本が何日で設定するかに注目が集まっています。

今年の閣議においては、年間営業日数を「180日以内」とする内容が決定され、大きな波紋をよんでいます。この日数はイギリスの「年90泊以内」、オランダの「年60泊以内」に比べると寛容な規制とも取れますが、住宅が供給過多となっている日本においてこの規制は民泊にとって致命的と言わざるを得ないでしょう。
そもそも180日となれば、年間の約半分しか営業できないことになります。ホテルであれば確実に潰れるでしょう。そこで今後の日本における民泊ビジネスで課題となってくるのは、民泊営業ができない残りの180日を民泊以外でどのように運用して収益を上げるのか、という点です。この点について、抜本的な打開策は現状のところ示されていません。

日本において民泊が魅力あるビジネスになるかどうかは、この営業日数を含めた規制内容に大きく左右されるでしょう。少なくとも、規制でガチガチに固めた上で「民泊、全面解禁!」とするのだけはやめてほしいものです。

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